【MARVEL】This is my selfishness
第2章 2nd
引越しして数日後、ようやく荷物の片付けが終わった。
キッチンやクローゼットがついたワンルーム。玄関から廊下の途中にユニットバス。一人暮らしには十分。
家賃は安いけどその分家具や雑貨は自分が気に入った物を置いているからなかなか気に入る部屋が出来上がった。
ぼふん!とベッドに座り込み、大きなクッションを膝に乗せ、抱き締める。
そのまま横に倒れるとすぐに睡魔がやってきた。
窓から差し込む光も夕暮れのもので、いい感じに薄暗い。
どこに何を置くか考えるのは楽しいけれど、その分頭を使って少し疲れた。
合間に近所を散策したりもして。
ちょっとだけ寝ちゃおうかな……
ギシ、ギシ、
軋む階段の音と鍵を開ける音に目が覚めた。
ハッ、と起き上がると1時間くらい寝ていたことに気付く。差し込んでいた太陽の光ももう無い。部屋の中が暗い。
バッキーが帰って来たのかな?
そうだ、散策した時にお茶会でも出せそうな物も買ったし、お茶会のお誘いしに行こうかな…。
明日は急すぎるかな?明日までは仕事も休みなんだけど…。
サッと立ち上がり、髪を手櫛で直し、お隣さんに向かった。
ドアベルを鳴らすと少し時間を置いて、ドアの向こうから音が聞こえた。
「ミア?」
開いた扉から腰にバスタオルを巻き、上半身は裸で髪が少し濡れたバッキーが現れた。
『、っぅわ、あ、ごっめんなさい!!!』
男性のそういう姿が見慣れてないわたしには刺激が強く、見てはいけないものを見てしまった気持ちになり、慌てて自分の部屋に戻ろうとした───────が、1歩足を踏み出す瞬間に腕を掴まれた。
「どうした?用があるんじゃ?」
何でもないようにバッキーはわたしの行動に首を傾げる。
完全に恥ずかしさでいたたまれなくなっているのはわたしだけだった。
『い、いや、あの、また後で来るからっ!』
絶対に目を合わせないように、バッキーの姿を視界に入れないように顔を背けた。また後で、と言ってもまだ腕は離してもらえない。