【MARVEL】This is my selfishness
第4章 4th
3本目の映画の途中から夕飯も食べだした。
挿すだけで使えるWi-Fiがあってよかった。固定電話やパソコンは持ってないから…。
夕飯も食べ終わり、3本目の映画を見終わる頃には日付が変わる時間だった。
映画館とは違い、こういう家で観れる時って『今のとこ好き!』って思った時に何回も巻き戻せちゃうからなかなか最後まで見終わるのに時間がかかったりするんだよね。
ただ映画館でもそうなんだけど、テレビとかってずっと観てたら目の奥が痛くなってきたりする。
それを治める為にも星を見ながらゆっくりしよう。
シャワーは屋上の掃除の後に浴びたから、後は屋上から戻ってきた後に歯磨きすればいい。
…けど念の為歯磨きしとこうかな。
戻ってくる時に億劫になって寝てしまったら虫歯になりかねない…いや、絶対なる。
歯磨きを済ませ、粉末ココアを予めお湯で練った物と、温めた牛乳を魔法瓶に入れ、クッキーの袋と大判ブランケット、そしてシートをカゴに入れて鍵をポケットに入れる。
よし、忘れ物は…スマホ忘れてた。
玄関を出て鍵を閉めようとポケットに手を突っ込むと、下からドアが開く音がした。
柵から少し身を乗り出して覗くと、唯一のお隣さん・バッキーがエントランスに入ってきた。
『おかえりなさい』
そう声をかけるとバッキーが顔を上げた。
「ただいま…今からどこか行くのか?」
階段を上ってきながら怪訝な顔をされた。
『屋上に────』
バッキーが階段を上りきる頃にはわたしも外階段がある方へと歩き出していて、その距離になってから気づいた。バッキーの額に擦り傷が…。
『どうしたの?』
傷の具合を見ようと思わず手が伸びていた。
少し触れるか触れないかの距離をバッキーは嫌がることなく、わたしを見ていた。
「…ちょっとな」
『痛くない?』
「大丈夫だ。かすり傷だから全然大したことない」
『大したことあるよ。かすり傷でもバイ菌入っちゃったら大変だよ?手当はした?』
見た感じ、血や汚れは着いてないし、大分乾燥はしてそう。 絆創膏などを長くするよりも乾燥させた方が治りが早かったりする。