【MARVEL】This is my selfishness
第4章 4th
指定通りアパートから3ブロック先に向かうと目の前で黒のSUVが止まる。
直ぐにそれに乗り込むと同時にアタッシュケースを膝に置かれる。
「誰に愛想良くHiなんて言ってたんだ?」
アタッシュケースを開けながら「隣人」と答える。アタッシュケースの中には任務に適した服が入っている。
「あんた隣人にあんな愛想良くするタイプか?」
ファルコンとしての既存のスーツではなく、キャプテン・アメリカらしさを足した新しいコスチュームに身を包んだサムがニヤニヤしている。
「…何が言いたい」
「女性だろ?隣人」
「それがどうした」
「いや?何でも?」
サムの顔はニヤついたままだった。
窓の外を見ようにも窓に貼ってあるシートのせいで、流れる景色は暗いものだが、俺の心は明るかった。
良いもんだな。「行ってらっしゃい」と言ってくれる人がいるってのは。
ちゃんと帰ってこようと思える。
屋上の掃除は思ったより大変だった。
管理人さんがいないせいか、風等で飛んできたであろうゴミが排水溝に詰まりかけていたし、虫の死骸などもあった。
虫が苦手なわたしとしては死骸ですら気が引ける。
けどここで気持ちよく星の観察やお茶会をするためには頑張らなくては。
『うう…』
集めたゴミをゴミ袋に入れる時も出来るだけ息を吸わないように気をつけた。
お昼を過ぎた頃には我ながらかなり綺麗に掃除できていた。
これで今日の夜はここでゆっくり出来るはず。
ゴミをアパート横の路地裏に持って行き、家に戻ると直ぐにシャワーを浴びた。
髪を乾かしてお昼ご飯の準備をしてテレビをつける。
ゲーム機の準備もして、スマホにも入れているサブスクリプションを選択。
今日は何を観よう。
お気に入りの作品か、新しく何か開拓するか…
まだ夜までの時間はたっぷりある。最低でも2〜3本は映画を観れそう。
ベッドとテレビは向かい合うように設置している。
テレビの向かって右横にクローゼットがある。
ベッドに座ってサイドテーブルに飲み物とお菓子を置いて手元にはコントローラー。
映画鑑賞の準備は完璧。