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【MARVEL】This is my selfishness

第14章 12th



「こら、酔っ払い」

『ふふふ〜』


左手は繋がれた状態でふわふわした気分を楽しむように歩いていると、夜も更けてより冷たくなった風が肌を撫でていく。


『…さむ、、』

「そんな格好してるからだ」

『ゎぷ、』


繋いだ手を引っ張られて、ふらふらしないようにか、バッキーの胸板に頭を押し付けられるようにわたしを固定しながら器用にジャケットを脱ぐ。その間ずっと下からバッキーの顔を見上げる。
ぽけ〜っと。


「ほら腕通して」


そう言いながらわたしにジャケットを着せようとする。


『…バッキーてかっこいいよね』

「…は?」


のそのそと肩にかけてもらったジャケットに腕を通す。やっぱり暖かいジャケットはバッキーの匂いがいっぱいで微かにさっきまでいたクラブの匂いもする。


『あったか〜い……あ、でもバッキーがさむくなっちゃうよね』

「いや俺は​────そうだな。寒いからこうしよう」


ふわふわした気分だけじゃなく、本当にフワリとわたしの体が浮いた。


気づくとわたしの視線は高くなっていて、それはバッキーよりも高くなっていた。


『!!』


わたしを右腕1本で抱えていた。
腕にわたしを載せるようにして膝あたりに回った手がバランスを取るように固定してくれている。


「これだけくっつけば暖かいだろ」


わたしを見上げるようにして笑う。
あ、この感じ、見たことある、と思った。
それはわたしが家で寝落ちしてしまって、バッキーが帰るに帰れなくなった日。起きた時、わたしは彼の頭を胸に抱くように寝ていて、その時にわたしよりあとに起きたバッキーがわたしを見上げていたんだ。

今度は、


『かわいいね』

「…今度は『かわいい』か?」

『うん。ふふ』


かっこよくて、かわいくて、愛しくて。
ぎゅう、とその頭を抱きしめる。
あ〜、人の頭って暖かいんだなあ。
だからあの時のわたしも暖かくて抱きしめて寝ていたのかなあ。






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