【MARVEL】This is my selfishness
第3章 3rd
『う〜ん…聞いてみよっか』
店員さんを探して周りをキョロキョロしてみると、レジの所に逞しい髭の生えた大柄の男性がいた。
レジの所に行き、『すみません、』と声をかけるとその店員さんに訝しげな顔で見られた。
『ちょっとお聞きしたいんですけど、スタンガンって持ち歩いていいんですか?』
わたしの質問にこれまた訝しげな顔をしながらのっそりと立ち上がると何やら紙を取り出した。
「護身用か?」
『そうですね』
「スタンガンは原則持ち歩きはしちゃいけないんだ。護身用なのにって思うだろうが危険物とみなされる。実害があって身を守るために使った場合は黙認されるだろうが、職質された時は恐らくアウトだろうな。要は所有は可、所持は不可ってことだ」
『なるほど』
今まで考えたこともなかったというのもあって知らなかったことだ。でも実際は知らないで済まされないなぁ。
斜め後ろに立っていたバッキーを振り返るとちょっと不服そうな顔をしていた。
『ってことだから購入したくないです…』
「…仕方ない」
店員さんにお礼を言って先程の棚のところまで戻る。
今度はスタンガンではなく催涙スプレーを見るために。
ちなみにこれも店員さんに聞いたんだけど、催涙スプレーは所持してても良いらしい。攻撃性の違いだそう。
『バッキーも知らなかったのね』
数種類あるスプレーを手に取り、裏面を読みながらバッキーの顔を伺うと口角が不満そうに下がっていた。
「なんで所有は良いのに所持は駄目なんだ」
『あ!見て、ニンニク臭!』
ブツブツと文句を言うバッキーにニンニク臭の催涙スプレーを見せると呆れた顔をされた。なんで?
『本当にあるもんだね!冗談で言ったのに』
「…所有で良いから家にスタンガン置いてた方が良いんじゃないか?」
『あのアパートに不審者来るかなあ?』
バッキーはまだスタンガンを諦めてないらしい。仕方ないって言ったのに……
あのアパートの見た目的にもお金持ちが住んでるような場所には見えないし(実際いないし)、住人はわたしたちしかいないし……
それを言うと「君がいれば十分可能性はある」と言われた。