【MARVEL】This is my selfishness
第3章 3rd
ミアの腕は女の子らしい腕をしていた。
戦闘力の優れた女の腕は筋肉質で硬いが、彼女の腕は滑らかで柔らかく触り心地が良い。
─────他の部位も同じように柔らかいのだろうか?
不意に浮かんだ疑問を奥にやる代わりにその腕を褒めると笑われた。
何かおかしな事を言っただろうか。
笑われた理由は分からないが、不思議と不快な気持ちはしない。
ミアが笑うと釣られてこちらの口角も上がる気がした。
『乾燥機に入れた後にね、昨日言ってた暴漢グッズを買いに行こうと思って』
お互いの腕の触りっこが済んでからそう言ってみた。ちゃんと言っとかないと心配性らしいバッキーを安心させてあげられないと思って。
「じゃあ俺も行こう」
『え』
意外な言葉が返ってきた。背もたれに体を預け、義手の左腕で頭を支えて体ごとこちらを向くようにしていたバッキーがまた真剣な顔をしていた。
『あの…そこまでしてもらわなくても大丈夫だよ?』
「君、スタンガンなんて持ったことないだろ。どれがいいか一緒に見るから」
確かにスタンガンなんて持ったことありませんけど……でも…
『えっと…バッキーもお仕事してるんじゃ……?』
何の仕事をしてるか聞いたことは無いけれど、屈強な体をしているし、警備とかボディガード的なお仕事をしていそう。何よりしっかりした大人の男性って感じだし……。ただ「今から仕事」という言葉を聞いたこともないけど。
「ちょっと特殊でな。不定期なんだ。ちょうど良く今日は予定がないから今からでも付き合える」
フフン、と得意気に微笑むバッキー。
こんなに心配性で親切なお隣さんっているんだ……。
『う〜ん…じゃあお願いしようかな「よし決まりだ」
言い切る前に食い気味で決定された。
『あとちょっとで洗濯終わるから先に着替えてくるね』
テーブルに置いていたランドリーバッグを手に持ち立ち上がる。
「その格好じゃ駄目なのか?」
不思議そうに首を傾げるバッキーがちょっと可愛く見えてきた。
くっきりとした二重に眉尻が下がっているからか、時々幼く見える。
『そりゃあね。だってこれパジャマだもの』