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【MARVEL】This is my selfishness

第10章 9th



閉店作業が終わり、帰宅準備をしようと自分のロッカーを開くと紙切れ​─────よく見ると名刺が入っていた。

箔押しのそれにはケリーさんの名前と連絡先が書いてあった。
なんとなしに裏に返すとそこにはボールペンの手書きで〈友達になりましょ:)〉と書いてあった。

おお、、大人な女性って感じがする…。スマートだ。
これは帰ってからさっそく登録させてもらおう。本当は今すぐにでも登録してメッセージを送りたいところだけど、バッキーが待ってくれているから今は我慢。
ロンさんからパーティーの前にロンさんの家で着替えたわたしたちの服を預かってるというのを言われて今までそれを忘れていたことに気付いた。今バッキーはそれを全部持ってくれている。




スタッフルームの出たところすぐの壁側で待ってくれていたバッキーに声を掛ける。

裏口から出る時はバッキーが扉を開け、支えてくれる。
バッキーといる時はいつも自分で扉を開けるよりも先にバッキーが開けてくれる。わたしが先に開けたとしてもすぐに扉を押さえてくれる。
この紳士さは皆に対してだろうな、って分かってるのに毎度『おお、』と感動してしまう。

今思えば、バッキーがケリーさんと話しているのを見た時のモヤモヤは友達が取られた気分ではなく、嫉妬だったのかもしれない。気づかないようにしていただけで、多分わたしは割と前から好きだったんだろうな。







「明日は何するんだ?」


帰り道、ゆっくりと歩きながら夜空を見上げていると、それを遮るようにバッキーが手をかざす。


『明日は〜……ゆっくりするかなあ』


大丈夫と言いながら、まだ昨日のことが忘れられず精神的にも身体的にも疲れている。出かけるより家にいるほうがゆっくり出来る。


『全身筋肉痛みたいで』


それだけ普段から運動してないせいかもしれないと思うと恥ずかしいところ。笑ってくれるかと思っていたけれど、そんなことはせず、急に腰を引き寄せられる。


『ぁえ、なに、』

「それはダンスのせいか?それともあいつのせいか?」


向き合うようにして腰をスリスリと両手で撫でられて、わずかにくすぐったい。
止まっているけれど、その姿はまるでダンスをしていたときのよう。


『え〜〜〜〜っと、、、両方、かな、、?』


真剣な顔をする彼にさすがに茶化すことも誤魔化すことも出来ない。



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