【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
「だからお客さんに対しても、身内に対しても、誰か1人厳しい目で見れる人が必要だと思ったのよ」
貴方なら適任だと思って、と付け加える。
「俺のことは信用できるのか?」
「貴方はミアちゃんのお墨付きだもの。あの子が信用してるなら大丈夫よ。意外と用心深いほうよ、あの子は」
ミアが用心深い?
本当にそうなら俺はもう少し心配事が減るんだが。
「ふふ、そうか?って顔してるわね。そうねえ…あの子、バッキーちゃんに出会ってから変わったみたいだものね」
「どう、」
どう変わったんだ、と聞こうとしたがわざとらしく「じゃあ!ここで働いてもらう一員になったってことで、連絡先教えてくれる?」と話を切り上げられた。
「あら、おはよう」
『あっ、おはようございます』
ロッカールームに行くとケリーさんと数人のキャストさんがいた。
わたしが部屋に入るとケリーさんが先に挨拶をしてくれた。
「パーティー、どうだった?」
『えっと、』
パーティーと言われたのに、パーティーではなくそのあとの出来事を思い出してしまい体が強ばる。
それが分かったのか、ケリーさんは「何かあった?上手くいかなかった?」と心配そうに肩を撫でてくれる。
『あ、いや、パーティーは楽しかったです!すごく!ケリーさんのおかげで自信もって参加することが出来ました』
改めてメイクをしてくれたことにお礼を言うと、「報酬は彼と何があったか聞かせてくれたら良いわ」と頬に挨拶のようなキスをされた。
美人からの急なボディタッチ付きのスキンシップに心臓がバッキーへの気持ちを自覚した時並みの盛り上がりを見せた。
ど、ドキドキする……!!
ケリーさんたちキャストさんに顔が綻ぶお客さんの気持ちがよく分かった。
熱くなる体温を下げようと深呼吸しているとうしろから軽く肩を叩かれた。
「よぉ、嬢ちゃん」
『わっ、!お、おはようございます、ルドルフさん!』
「そこまでびっくりするとは……ん??なんか顔赤くないか?どうした」
ルドルフさんが覗き込むように顔をまじまじと見てくるのを両手で顔を覆い隠しながら『大丈夫です!』と返すと「昨日のことはロンから聞いてる。体調が悪いなら言えよ、俺からロンに言ってやってもいいからよ」と気遣ってくれた。