【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
「さっき話してたんだけど、私とこの人で上に服類持って上がってくるから、ミアちゃんは開店準備に入ってくれてたら助かるわ」
『わかりました』
ミアの様子が気になるところだが、本人が大丈夫と言っている以上、今のところどうすることも出来ない。
服や靴を持ち、ロンバルドの後をついていく時に「行ってくる」とミアに声をかけると開店前でまだ明るい店内の中、途端にミアの顔が真っ赤になったのが分かった。
「ミア、」
『持って上がるの、よろしくね!わたし、準備するから!』
ミアはバタバタと慌てたようにスタッフルームへ走って行った。
昨日と同じようにビルの上階へ上がり、ロンバルドに指示されたとおりに借りたものを置いていく。
「ねえ、バッキーちゃん」
……バッキーちゃん?
「お願いがあるの」
「なんだ?」
「あなた、HEAVENの警備員にならない?」
ソファーに座るように促され、ロンバルドと向かい合うように座る。
「今している仕事が忙しいって言うなら聞かなかったことにしてくれて構わないわ。ただ悪い話じゃないと思うの」
「……」
「あなたが来れる日に来てくれたらいいわ。なんならミアちゃんが出勤する日で、プラスあなたが来れる日。お給金は日払いでどうかしら?」
「それは店の警備員と言うよりミアの警備員じゃないか?」
「いいのよ、それで。それに来てもらった日にはミアちゃんが危ない時だけじゃなく店の全員を守ってもらうから」
「…構わないが…そんなにここの店は治安が悪いわけじゃないだろ」
今までも何度かこの店で飲んだが、一貫してタチの悪い客がいるようには見えなかった。
この地域も特別治安が悪いようには思わない。
「……ジョン……ジョン・レオポルドのことがあったでしょう?私、自分は結構見る目があると思っていたのよ。人を見る目。けど…昨日のことで本当に自分には人を見る目があるのか、自信をなくしたわ」