【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
ダニエルさんから聞いた、外階段用の合鍵のことやオートロック設置の日にちは決まり次第連絡が来ることなどを伝えるとバッキーもやはり同じことを考えたようで「家賃が安い割には対応がいいな」と感心していた。
仕事に行く準備が終わり、バッキーに声を掛けるついでに先に服を返すためにも早めに行動する。
チャイムを鳴らすとすぐに出てくれる。
「行くか?」
『うん、その前に服、ありがとうございました』
「ああ、どういたしまして」
バッキーは服を受け取るとそのまま顔に当て匂いを嗅ぐ。
『あ!また!』
「つい」
前も服を貸してもらって洗濯して返したらバッキーはそのまま匂いを嗅いでいた。
『……もしかして匂いフェチ?』
「?そういうわけじゃないが…ミアからもらったものとか返してもらったものは良い匂いがするからつい嗅いでしまうな」
『ッ!』
さらりとそんなことを言っておいて何事も無かったかのように玄関扉を開け放ったまま、服を置きにバッキーは部屋の奥へ行った。
もらったもの…何かあげたっけ………あ!クッション?
あれも匂い嗅いでたの?!
洗濯したものならまだしも、クッションは完全にわたしが使っていたのをそのまま渡したものだ。
嗅いだのか嗅いでないのか聞きたい、聞きたくない気もする、と悩むわたしをよそにバッキーは戻ってきて、何食わぬ顔で「返すもの、取りに行っていいか?」と言いながら自分の家の鍵を閉めた。
『うん……』
「どうした?」
『…いや、なんでもない……』
とりあえず、聞かないことにした。今度からもし何かバッキーにあげることがあった時は気をつけよう……。
『わたしまだ持てるけど?』
「ミアはそれ持ってくれてたらいい。いつものバッグだってあるだろ」
『そうだけど……』
ロンさんたちに返す、お酒を入れて持って帰ってきたケースやパーティーで着たタキシードやケープにドレス、それぞれの靴、そしてハンドバッグを手分けして持つことにした。
しかしそのほとんどをバッキーがかっさらった。