【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
うたた寝をしてしまって飛び起きる。
時間にはまだ余裕があって、寝てしまったのはほんの20分程度だった。
ケリーさんにしてもらったメイクはもうすっかりヨレてしまって、面影はない。
少し残念な気持ちもあるけれどヨレているのをいつまでも残していても仕方ないからお風呂に入る時に綺麗に落とした。
今日はまだ何も食べてないことをお腹の音に教えてもらい、あるもので済ます。
そうだ、少しの間とはいえシャワーを浴びてない状態で着させてもらったバッキーの服、洗濯しなきゃ。
2着だけを洗濯機で回して部屋に戻ろうとしたらエントランスの扉が開いた。
『ダニエルさん!』
「あ!えーっとミアちゃん!」
入ってきたのは大家兼管理人のダニエルさんだった。
「突然なんだけど、今度ここオートロックつける工事するから!」
『え??』
「今どきオートロックついてねえとかありえねぇよな〜じいちゃんそういうこと何もしてなかったからさぁ。俺が継いだからには安全なアパートにすっから」
『あ、ありがとうございます…』
確かにこのアパートにはオートロックがついてないからサムさんやロンさんみたいに自由にエントランスのドアから中へ入れる。
なんなら管理人さんも常駐してないなら止める人もいない。
とはいえ、家賃からしてオートロック付いてないのは当然な気がする。それだけ破格の家賃なのだから。
「バッキー・バーンズさんから連絡があって良かったよ。なかったら俺気づいてなかったかも。まあ連絡自体はあんたから欲しかったけどね」
パチン!とウィンクをしながら言う。
バッキーが連絡していたなんて知らなかった。いつの間にしてたんだろう。
ダニエルさんからオートロックがつくことと、屋上に行く外階段も普段から施錠するようにということを言われた。
それじゃあ月曜日の夜のお茶会ももう屋上で出来ないのか、と考えていると「外階段用の合鍵を2人に渡すから今まで通り屋上使っていいよ」とのことだった。
何から何まで融通を利かせてくれてありがたい。
ダニエルさんはどうやらこのアパートを継いでも継がなくてももともと収入に困っていないらしい。