【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
バッキーがそう言うと、ロンバルドは既にサムが「誰なのか」を分かっているようで「ええ、私に協力出来ることなら」とすぐに快く頷いた。
「それにしてもミアちゃん、その服随分オーバーサイズに見えるわね」
『あ、これバッキーの服なんです。荷物をホテルに置いてきてしまって、昨日アパートに帰ってきてから家に入れないことに気づいて…』
「あらァ〜」
あらあらそ〜なの〜?と楽しそうに口角を上げたロンバルドはミアの肩を抱いて耳に顔を寄せると「あとでその話詳しく教えてちょうだい」と囁いた。
ミアは首を傾げながら『えっと、はい…?』と返事した。
「ミアちゃんの小柄さが引き立ってよく似合ってるわ。可愛い!」
ロンバルドはミアの額にリップ音を鳴らしキスをする。
それを睨むように見ていたバッキーと目が合ったが、ロンバルドは気にしない。
「今日のシフト、休んでも平気よ」
『え、いや、出れますよ、わたし。お酒のケースとかドレスとかも返したいですし』
「でも…」
「ミアが仕事に行く時は俺も行く」
『えっ、そうなの?』
バッキーの言葉に初めて知ったミアは驚く。
仕事に行く時に借りていた酒を入れたケースとサムに持ってきてもらったクリーニング済みのドレスとタキシードなどを持って行こうと思ってはいたが、まだそれをバッキーに話していなかった。それ故にバッキーがついてくることになっているとは思っていなかった。
「1人で持ちきれないだろ」
「そうよ、それがいいわ。それじゃあ、頼んだわよ」
ポンポン、とバッキーの肩を叩くとロンバルドは「行きましょ」とサムの腕を引っ張って階段を降りていった。