【MARVEL】This is my selfishness
第10章 9th
インターホンが鳴るとバッキーに体を預けるようにして寝ていたミアが過剰とも言えるほどに反応した。
「大丈夫だ」
肩を摩ってやりながら声を掛けると、緊張した面持ちで小さく頷いた。
それを見てからソファーから立ち上がり、バッキーだけが玄関へと向かう。
玄関扉を開けると予想していた人物だった。
「ほら、ミアの荷物とクリーニング済みのドレスとケープにスーツな」
「忙しいのに悪かったな」
「へえ、あんたが素直に礼を言うなんてな」
「いつだって礼は言ってるだろ」
荷物を受け取り、代わりに任務服を渡しているとペタペタと後ろから足音が聞こえ、バッキーの背後からひょこっとミアが顔を出す。
『サムさん』
「Hi…それバッキーの服か?」
『貸してもらってるんです。家に入れなかったので…』
バッキーから自分の荷物を受け取り、サムにお礼を言う。
「大丈夫か?」
『はい、大丈夫です。すみません、荷物を届けてもらって…ドレスのクリーニングまで…』
「いいんだ、あんたは巻き込まれただけだからな。こっちこそすまない。レッドウィングつけておきながら危険な目に遭わせてしまった」
『レッドウィング…?』
「小鳥だ」
「ちがう。あの赤いロボットだよ」
『ああ!』
あれですね、とミアは思い出して頷いた。
「あ、あとここに来るまでにスマホ、鳴ってたみたいだぞ」
サムがミアのハンドバッグを指さしながら言う。
ミアがバッグからスマホを取り出すと確かに着信やらメッセージやらが届いていた。
普段こんなに連絡が来ることなんてない。しかも相手はロンバルドからだった。
『ロンさんからだ…なんだろ』
「あー、ニュースでも観たんじゃないか?」
バッキーが言うとミアはハッとした。
────そうだ、レオポルドさんはもともとロンさん達の知り合いだった。
知り合いが密輸入に売買をしていたことが報道され、しかもその知り合いが主催していたパーティーに自分の勧めで従業員が参加していたのだから昨日の騒ぎに巻き込まれたと考えてもおかしくない。
ましてや連絡が取れないのであれば何度も連絡をするだろう。