【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
「なるほどな!お嬢さん、私と来て頂こうか!」
レオポルドさんはそのままわたしが着ているガウンの首元を掴みあげるようにして、依然ロボットと自分の間にわたしがいる状態を保ちどこかへと走る。
その間もロボットは着いてくるけれど、わたしがいるせいでどうにも出来ないらしく、何も撃ってこない。
逃げたいけれど、ロボットに対して構えられなくなった拳銃が胸の中心に当てられ、しかも僅かに銃口は左へと向いている。
こんな走っている状態では引き金に充てられた指がいつ何らかの衝撃で引かれるか分かったものじゃない。
必死にレオポルドさんが走るのに合わせるしか出来なかった。
そうしているうちに、色んなものや人にぶつかりながら地下の駐車場に連れてこられた。
何故レオポルドさんが追われている様子なのかも分からないけれど、どうやらここから脱出を測っているらしい。
「どこかで見た顔だと思ったんだ。バッキー・バーンズと名乗った時点で気づいていれば違ったのにな」
『バッキー…?』
もしかしてバッキーとサムさんがレオポルドさんを追っている?
「お嬢さんがあの人殺しと何故一緒にいるかは知らんが────」
「ミア!!!!」
レオポルドさんの言葉を遮るように、遠くからバッキーの声が響いた。
反射的に振り返ると、地上へと繋がる階段のところに銃を構えたバッキーがいた。
レオポルドさんは素早く柱に近寄り、背中を柱に付けてわたしを前へ押し出すようにしながら先程よりも銃口をわたしの胸へ押し付けた。
ずっと首元を掴みあげていた手は今度は背中部分をがっちりと掴み直され、走っていた時よりも体が密着している。
ガウンはすでに高級感を失ったようにヨレヨレで、後ろから掴まれていることもあり、布が全体的に後ろへと引っ張られている。
「……ミアを離せ」
「この女が居れば撃たれないと分かっているのに離すと思うか?」
グリ、と少ない胸の形が変わるほどに銃口が当てられる。
────わたしがいるせいで、バッキーやロボットが何も出来ない?
「これで安心か?」
そう言うと、バッキーは構えていた銃を落とし、遠くへと蹴飛ばした。