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【MARVEL】This is my selfishness

第8章 8th



「ハハッ、この女が余程大事なんだな。ホテルに泊まってもらって良かったよ」


その言葉はズシリとわたしに重くのしかかった。

わたしが泊まりたいと言わず大人しく帰っていれば、もし同じようにバッキーが仕事に呼ばれたとしてもこうやってわたしが人質になることもなかった。そうすればきっとバッキー達は今頃レオポルドさんを捕まえていたはず。


……身の程知らずなことを望むものじゃないな……。


幸い、掴まれているのは背中部分。

この下はショーツしか履いてない。
けど​───────



バッキーを見る。
わたしの視力じゃあ、多分目が合っているはず、程度しか分からない距離。


靴はヒールだけど、低いから大丈夫。ここまで走らされたし。


あとはわたしが覚悟を決めるだけだ。



震える手を出来るだけゆっくりと静かに動かす。
手が震えていること、今初めて知ったな。


「キャプテン・アメリカ気取りのやつはどうした」

「ああ、あいつは鳥だから前のキャプテンと違って夜目が効かないんだ」


バッキーがレオポルドさんの気を引いているうちに​──────



わたしはガウンのリボンの端を一瞬で引っ張ると同時にバッキーのほうへと走った。
手の先がガウンの袖から離れると、走りながらもすぐに自分を抱きしめるように胸の前でクロスする。
恐怖で力が変に入って、ギュッと目を瞑ったまま必死にバッキーのほうへと走ると、思ったよりもすぐに何かにぶつかったけれど、ギュウ、と力強く抱きしめられたことでぶつかったのではなく抱き留められたのだと分かった。
分かった瞬間には上下左右、前後まで天と地が分からなくなるように転がった。



「……無茶をするな」


車の影に入ったようで、まるでバッキーに閉じ込められるように抱きしめられていて、そのままバッキーが起き上がると、つられるようにしてわたしの体も持ち上がった。


『わたしがいなければ、何とかなるかなって思って…』

「おかげで確保出来た」

その言葉にわたしが逃げ出してきた方向を見ると、柱に背中を預けたまま両手を上げたレオポルドさんを赤いロボットが2機で取り囲んでいた。


「だれが夜目が効かないだって?」





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