【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
「それで、狙いは?」
すぐに非常階段にいるサムと合流したバッキーは辺りを警戒しながら話す。自分はまだしも、ヒーロースーツを着たサムは目立つ。
「こいつだ。武器の密輸入及び販売をしていて────」
「…間違いないんだな?」
「じゃないと動かない」
サムが「こいつ」と言って腕輪から投影した人物はジョン・レオポルドだった。
「どうした?」
「…俺がなんで今日ここにいるか知ってるか?」
「いや?どこにいるかは分かっても理由まではさすがに把握してない。良かったな」
場所は知られてるのに良い訳あるか、と言いたいところだがそれだけで済んでいることは「良かった」ことではあるだろう。俺の身としては。
「ミアとこいつが主催しているパーティーに参加していたからだ」
バッキーがため息混じりにそう話すと、サムは一拍置いて「ブフ、」と声が漏れた口を抑えながら、肩を揺らして笑った。
「ぱ、パーティー行ってたのか?あんたが?」
「…お前は知らないだろうが昔はよく行ってた。あんな豪華なもんじゃなかったが」
昔であればディスコやクラブの類でダンスパーティーのように踊っていたのだ。女を両脇に侍らせて。
バッキーは眉間に皺を寄せ、いまだに小さく笑うサムを睨んだ。
「どういう繋がりだ?」
「ミアが働いてるBARの店長とシェフがレオポルドと知り合いで、その店長たちが招待されてたんだがBARの営業で行けなかったんだ」
「それであんたら2人が?」
「ああ。偶然映画館で会ってな。招待を無駄にするのももったいないからってことで───」
「ミアと映画観に行ったのか」
……言わなきゃ良かった。
ニヤニヤと口元に笑みを浮かべながら、サムは「ほお。なあ、今度俺とも映画観に行こう」と言う。それに対しバッキーは「嫌だ」と言い放った。