【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
それを耳に入れるのを見て無線なんだと気づいた。
酔いなんかもうどこかへと消え去った。
いつもは普通に仕事に行くみたいに出かけて行くのを見るだけって感じだけど、今は違う。
パーティーに来てただけなのに、本当だったら今からバッキーもシャワーを浴びたりなんだりして着替えて休むはずだったのに。
彼は今から急に危険な場所へ行く。
いつもと違う様子に、ちぐはぐさにわたしの心臓は危険を知らせるように早鐘を打つ。
バッキーはわたしに背を向けると、無線でなにか指示を受けたのか1つ2つ答えて再度わたしを振り返ると「行ってくる。部屋の鍵は全て締めて、俺以外中に入れるなよ」と言って、少しだけわたしの頭を撫でて部屋を出た。
わたしは言われた通りに部屋の鍵という鍵を締め、ソファーに戻って腰を下ろし、クッションを抱えて丸くなる。
その間もずっと赤いロボットは、わたしの周りを飛んでいた────
「おい、写真消しただろうな?」
〈なんのことだ?〉
「今更とぼけるな。ミアの写真は消せ」
〈あんたも写ってるぞ〉
「尚更消せ。何に使われるか分かったもんじゃない」
任務用の服が入っているケースが置かれている場所に向かいながら無線のサムに言うが、この場にいないため、写真を本当に消すかどうかわからない。
この男、ガウン姿の無防備なミアの写真をレッドウィングで撮りやがった。様々な機能があるあのロボットならばフラッシュなぞせずとも撮れただろうにわざと分かりやすく光らせやがった。
しかもその写真を俺に任務に参加させるために使いやがった。
〈お?…あんたの隣人、レッドウィングになにかし始めたぞ〉
「は?」
ケースが置いてある場所に着き、急いで借り物のスーツを着替え、任務用の服の代わりにケースに仕舞い込む。その際なりふり構ってられず絶対にシワになる入れ方になったが破れないだけマシだろ。
「何かってなんだ?」
〈レッドウィングを膝の上に……いや、膝の上にクッションをのせて、その上にレッドウィングを置いてる〉
「あのロボット、お前が操作してるんだろ?停止させたのか?」