【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
何かが窓の外にいる、と目を凝らした途端に光が瞬いた。
『っ、』
何回か目を瞬かせたあと、再度その《何か》へ目を向けると窓の外にはロボットのようなものが滞空していた。
一瞬、鳥かとも思ったけど鳥は夜目が効かなくて夜にはあまり飛ばないはずだし、何よりも見た目が鳥のようであっても機械だった。
部屋の光を反射するそれは赤い機体をしていた。
「……おい、今の光なんだ?」
バッキーはいつの間にかわたしの隣に立ち、同じように鳥のようなロボットを見ながら電話相手に話しかけていた。
今の光って……電話相手はこのロボットの持ち主ということ?
「消せ。今すぐ消せ」
「ミアまで巻き込もうとするな」
「……チッ。分かった。行く。行くがミアの安全が確保出来てからだ」
電話を切ると、バッキーはわたしを窓から遠ざけ、ソファーに座らせる。
戻って窓を開け、外に滞空していた赤いロボットを部屋へ招き入れる。
その赤いロボットはわたしのほうへ飛んでくると、くるくるとわたしの周りを飛ぶ。
『えっと…?』
「…サムのロボットだ。こいつがミアを俺の代わりに守る」
『…どういうこと?バッキーの代わりって…バッキーは?』
バッキーは嫌そうに息を吐く。質問をしたわたしにしたのかと気持ちが沈みかけたけど、バッキーは息を吐いたあとにわたしの近くに留まっている赤いロボットを軽く小突きながら「仕事が入った」と言った。
このロボットはサムさんのものだとさっき言っていた。
多分さっきの電話はサムさんからだったんだろう。
そして仕事が入ったということは。
わたしにこの赤いロボットがバッキーの代わりにわたしを守ると言ったから、今からこの場を離れなきゃいけないほど急なお仕事。
『……気をつけてね?』
近くにあったバッキーの手を両手で包むようにして握る。
それに合わせて立っていた彼はわたしに視線を合わせるようにしゃがんでくれた。
「ああ。こいつが騒ぎださないうちはここでじっとしててくれ。無線にもなってるから危険になったらこいつが知らせてくれる」
こいつ、と言いながら赤いロボットをジト、と睨む。
それに対しての返事かのように赤いロボットの下部が開き、何か落としたのをバッキーはそれが床に落ちるよりも先に素早く左手で受け止めた。