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【MARVEL】This is my selfishness

第8章 8th



『…わたし続けざまにお世話になってるね……』


水を飲んだからか、幾分か頭が働きだして冷静になる。
そして改めて今の自分の姿を理解すると、猫(のつもり)になったことと言い、映画鑑賞して先に寝落ちたことと言い、そしてこの状況ということに頭を抱えたくなってきた。
いや、実際頭を抱えたいのはバッキーかもしれない。

しかしいつも紳士的でいつもより今日はわたしを女性らしく扱ってくれてるバッキーはそんな様子を微塵も感じさせない優しい顔で「したくてしてるんだ」と言って、支えてくれてる手で背中を撫でてくれた。


「あまりオススメはしないが、シャワー浴びるか?」

『ん〜……ううん、やめとく……』


もう眠いし、と零すと「だろうな」と笑われた。
多分わたしの瞼が閉じかけていることに気づいてるのだろう。


『あ、でも着替えたいかも……借り物のドレスだし』

「1人で大丈夫か?」


1人で大丈夫じゃない場合はどうなるんだろう?と考えたところで想像をしてしまってハッとする。


『もちろんです!!』


ガバッ!と馬鹿みたいに勢いよく立ち上がり、ふらついたのをまたしても彼が支えてくれた。本当に馬鹿じゃないかな、わたしってやつは。

ホテルが用意してくれているガウンの類をバッキーが持たせてくれて、浴室に続く脱衣所で着替える。


あ〜……そっか、ブラないんだった……。ぼや〜っとした頭で考えながらガウンを着る。
引き上げるのが難しかった背中のファスナーは、下ろすのは簡単だった。
さすが高級ホテル。わたしが買うようなものより断然生地がいいのが酔ってても分かる。
前を閉じてリボンを結び、脱衣所を出るとバッキーはケータイで電話をしていた。


「なんでここにいること知って​───ケータイか」


少しイラついているようだったけど、目が合うとしかめっ面が少しだけ和らいだ。


「ダメだ。俺は今ここから離れられない。やるなら俺抜きでやってくれ」


何の話だろう?と思っていると、コンコン、とどこからかノックが聞こえた。

キョロキョロと音のした方向を探ると、再度音がした。
それは入室したものの見れていなかった大きな窓からだった。
カーテンで見えないので近づいてカーテンを開けようとするとバッキーが「あ、おい待て」と止めようとしていた。が、わたしのカーテンを開ける手の方が早かった。


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