【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
レオポルドさんにタンゴが見事だったこと、パーティーもお料理もお酒も十分に楽しませてもらったことを伝え改めてお礼を言うと「今度はロン達だけじゃなく君たちの事も同じように招待させてくれ」と言ってくれた。
ホテルの部屋のこともリップサービスじゃなく本当だったし、もしかしたら次があるかもしれないことも本当かもしれない。
わたしがどう『ホテルのお部屋貸してください!』と切り出そうか考えてる間にバッキーがわたしを示しながら「部屋を借りたいんだが」と言った。
それに対しレオポルドさんは快く返事をしてくれて、すぐにそばに控えていた黒スーツの男性に「こちらの方々を部屋に案内してくれ」と指示していた。
部屋まで案内してくれた黒スーツの人に2人分のマスケラをお返しして(わたしの分はバッキーが取ってくれた)、お礼を言ったはずだけど既に瞼が閉じよう閉じようとしてるわたしには言えたか定かじゃない。しかも部屋に着く頃には体が活動を停止しようとするわたしに痺れを切らしたバッキーがまたしてもわたしを横抱きにして運んでくれていた。
わたしはなんとか彼の首に抱きついていたつもりだったけど力が入ってるかは分からなかった。
「ほら、ここにもたれて。水を持ってくる」
クッションが沢山並んだ大きなベッドに下ろしてくれたバッキーは甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
言われた通りにヘッドボードに沿って並ぶクッションに沈むようにもたれかかる。
水かあ〜たしかにお酒飲んだから喉乾いてるなあ〜。
お酒じゃあ喉は潤わないって言うもんねえ
「…脊髄をどこかに落としてきたのか?」
水を持ってきてくれたバッキーがわたしの格好を見て苦笑する。
自分のベッドより遥かにふかふかで良い弾力のベッドに手をついて体を起こすと、バッキーはわたしの背中に手を当てて支えながら水の入ったコップを渡してくれる。
「飲めるか?」
『うん、だいじょうぶ、』
コップを落とさないように両手で受け取り、1口飲むと、喉が『これこれ!』とでも言うように潤い、さらに水を欲する感覚がした。
「こら。ゆっくり飲めよ」
喉が欲するままに飲み進めていると、横から「待った」がかかった。
「腹冷やすだろ」と言いながらわたしの後ろにあったクッションをひとつ減らし、わたしのお腹へと優しく押し付けるように載せた。