【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
「大丈夫ですか?」
『あ、ごめんなさ、い』
うぅ…目が回ってる…。
しかめっ面で見上げるとマスクをしている為、多分だけど知らない男性がぶつかったわたしを支えるように立っていた。
「すまない」
そんなわたしをバッキーが慎重に抱き寄せてくれた。
その間もフラフラと足元がおぼつかない。
『ンぅ…一気に酔いが…』
そっぽを向いたのが良くなかった。確かに、バッキーが言った通り、飲みすぎてしまったみたい。
平気だと思っていたけど、やっぱりわたしの体はアルコール許容量が多くはないようだ。
抱きすくめられるような体勢のまま、バッキーの腕に手を置いて回る世界をやり過ごそうとする。
「…レオポルドに部屋を借りよう」
ボソッとバッキーが言う。
『…まだいる』
「正気か?」
『だって…もったいないじゃない?せっかくパーティーに来てるのに』
ロンバルドの家でドレスアップしたミアを見た時、言葉が出なかった。
あまりにも綺麗で───────
綺麗だと言うと目を潤ませるミアにはグッときた。
しかもスリットが深いせいで艶めかしく見える。それに俺の目の色に似ているネックレスをしているのがまた何とも言えない満ち足りた気分にさせる。
まるで俺の所有物のように、マーキングのように…。
しかし他の男に声をかけられているのを見た時は本当に焦った。
獲られてしまう───そう思った。
その後の約束した相手とやらを問い質した時の吐息交じりのように掠れた声で俺の名前を言うミアは艶やかで美しかった。
ズブズブとミアに嵌っていく自分が滑稽でありながらも心地良い。
ひとつひとつの反応が可愛くて仕方ない。そして時折見せる女性らしい美しさも心を鷲掴みにしてくる。
あと…ずっと気になっていることがある。
ミアの後ろに立った時に気づいたんだが…
普段、多少見える『パンティーライン』が今のドレス姿のミアには全くと言っていいほど見えない。
下着屋に行っていたし、その前には(恐らく)ロンバルドからの電話に何やら焦っていたことからも推測してまさかTバッ───いや、これ以上は考えないようにしよう。
それを言えば多分ブラもしていない。