• テキストサイズ

【MARVEL】This is my selfishness

第8章 8th


「君は?」

『わたし?』

「俺を探してくれていたか?」


そう言って、熱っぽい視線を向けられる…気がする。


『そ、それは…』


その視線には申し訳ないが、あの時のわたしはちょっとぼーっとしていた。


「探してくれてなかったのか」

口をへの字にするように、バッキーが口角を下げる。


『ち、違うの、あの時ちょっと考え事を…』

グ二、

『ごめっ、』

「大丈夫だ」


慌てたせいでステップを間違えてバッキーの足を踏んでしまった。

「考え事って?」

『…大したことじゃないんだけど、元々はロンさん達が出席予定だったでしょう?だからもし出席していたら、男女で分かれる時にどう分かれたんだろう…って考えてたの』


白状すると、頭上からフッと短く息を吐くような音が聞こえた。呆れた?

「確かにな。ルドルフ…と言ったか?アイツは男側だろうが、ロンバルドはどっちに分かれたんだろうな」


わたしが考えたようにバッキーも同じようにロンさんがどちらに分かれるかは決めかねるようだった。


『わたしもそんな風に考えてたの。そしたら多分近くにいた人だろうね、知らない人に声かけられて​───』


そしてバッキーに見つけてもらった。


「近くじゃなくとも君は誰かしらに声かけられていたさ」

『そんなこと​…もしかしたらあの人だって友達と来てて出会いを求めて近くにいただけの人に声をかけたかもしれないじゃない』

「どうだか」


その言葉と共に腰に当てられた手に力が込められ、グッとバッキーとの距離が、より近くなった。













1曲分、踊り終えた。
そこから楽譜を替えているオーケストラさんたちを見ていると、ガラリと雰囲気が変わった曲の演奏が始まった。



『バ、バッキー…これは…』

「タンゴだな」


先程の曲よりもテンポが早く、ややリズミカルな気がする。


『さすがにわたしこれは無理だよ?』

「そうだな…出来なくはなさそうだが​────」


ちらりとわたしに視線をやって「やめておこう」と言った。


「セクシーすぎる」

『?』

「さっきのダンスより君の生脚が見られてしまう可能性がある」


そう言いながら、ドレスのスリットが入ってる側にバッキーが立つ。


…確かにそれはちょっと恥ずかしいかも。セクシーすぎるってことはないと思うけど…。
/ 284ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp