【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
わたしがいまいち理解出来てないことに呆れたのか、バッキーは「う〜ん」とでも言いたげな顔をする。そんな顔をされても一体何が言いたいのか分からない。
…わたしの汲み取りスキルが足りないのは悔しいな。バッキーはわたしのことすぐ読み取るのに。
『…あ!分かった!わたしがダニエルさんと仲良くなるのが寂しいんだね!友達がとられるとでも思った?』
頭をフル回転させて思いついたものだったけどバッキーは今度こそため息をついた。
「…そうだな、そういうことにしておこう」
『何かそれ納得いかない返事なんだけど…』
良いんだ、と頭をポンポンと宥められた。
わたし子供扱いされてる?
空気を変えるようにバッキーが「そろそろ行くか?」と聞いてきた。少し早い気もするけど、のんびり向かうのもいいかもしれない。しようと思っていた家事は今日くらいは後回しにしちゃおう。
バッキーの提案に賛同した。
『バッキーはパーティーって行ったことある?』
お店へ向かう道中、気になっていたことを聞いてみた。
「…パーティーの種類を問わないのであれば、ある」
そっか。一口にパーティーと言っても、今回のような仮面舞踏会のようなパーティーだけでなく、立食パーティーとか、仮面はしないダンスパーティーとかいろいろあるよね。
『どんなだった?』
「どんな…ダンスパーティー…?」
語尾に疑問符がつくような感じでバッキーは少し首を傾げた。
『バッキーがダンス…』
言葉をなぞるように口に出しながら想像してみようとしたけど、浮かばない。バッキーとダンスって…何と言うか…想像できない…。
「俺にダンスは似合わないか」
わたしの頭の中を読み取るように────いや、表情を読み取ったのかも。バッキーは不満そうに眉間に皺を寄せた。
『似合わないっていうか想像がつかなかった…あ、でもバッキーてリードが上手そうだよね』
さりげなく道路側を歩いてくれたり、荷物を持ってくれたり、扉を先に開けてくれたり、腰に軽く手を添えて誘導してくれたりと何かと紳士的だもの。
「期待に応えれるよう頑張るよ」
グッと口角を上げてバッキーが笑みを作った。