【MARVEL】This is my selfishness
第2章 2nd
冗談が心臓に悪い。もしかしてわたしからかわれてる?
大人な雰囲気のあるバッキーからしたらきっとわたしはかなり子供じみているはず。いつもワタワタしてる感じを見せてしまっているし……それこそ反応を楽しまれてるに違いない。
『お店では指名出来ないけど、ここでなら晩酌に付き合えるよ?』
ちょっと余裕を見せてみようと背筋を伸ばす。
「ワオ、それは楽しみだな」
カップケーキとクッキーをそれぞれの手に持ってモシャモシャと食べながら言われた。
全然効いてないな!わたしの余裕見せは何だったんだ!
「それより君がBARで働ける年齢ってことに俺は驚いてる」
『えっ』
「何歳なんだ?」
『26だよ?』
「…18とかだと思ってた」
『そんなに若く見える…?いや、まあ、割と初っ端から詰めが甘いとことか見せちゃってたもんね……』
それでもそんなに若く見られてたのは割とショックだ。
18といえば孤児院を出たくらいかな。17歳になる年に両親を亡くしたわたしは孤児院に約2年間だけお世話になって、その孤児院を出てからは一人で社会に出た自分としては結構しっかりしてるつもりだった。
すっかり大人になった気持ちもあったのに…。
『バッキーは大人っぽいもんね』
ちょっぴり沈んだ気持ちを誤魔化すように口をすぼめる。
「まあ、それは否定しない」
『バッキーは何歳なの?』
「106」
真剣な顔で言うから本当な気がしてくる。けど見た目が30代だと思うんだけど……言いたくないのかな…?
「まあ君よりは歳上だ」
戸惑うわたしに笑顔を向けてその話はそこで打ち切られた。
「ふぅ、腹がいっぱいだ」
コーヒーで余韻を楽しみながらバッキーはお腹を撫でた。
食べられなかったら明日以降にも食べればいいかと思っていたスイーツたちは綺麗に無くなっていた。
『すごくたくさん食べられるのね!』
「サンドイッチもクッキーも美味かったからな」
『ほんと?クッキーもね、わたしが作った物だったんだよ』
「それは勿体ないことしたな。もっとじっくり食べれば良かった」
『レシピ通りの味だけどね』
「美味かったよ」
バッキーの笑顔は人をその気にさせるのが上手い。自分が料理上手になった気分になる。
「明日から仕事か?」
『うん、そうだよ』
「何時から?」