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【MARVEL】This is my selfishness

第2章 2nd


確かにわたしも『天国って…』って思ったけど面接の時も店長さんは気さくで良い人そうだったし​─────実際良い人だったし、引っ越そうかと思って物件を探し始めた時も「ここら辺ならそんなに治安も悪くないし何かあったら店に来てくれたらいいから」と親身になってくれた。

ここに引っ越す前はバスで来ていたけどバス停からお店までが近いわけじゃなかった。
だったら引っ越して、バス停からお店まで歩いていた分を家からお店まで歩く時間にしようと思い、この1年間ほどで引越し資金を貯めた。もともと何かあった場合の為にちょこちょこと貯めていたため、そう時間をかけずに引越し資金を貯めることが出来た。
引越し先も家賃は安い方だし、前のようなバス代もかからない。
近所にスーパーもあるし、今のところ不便さをあまり感じない。


「今度飲みに行くよ」

『ほんと?楽しみにしてる!わたしはウェイトレスだからお酒は作らないけど店長が作るカクテル美味しいの。お酒得意じゃないわたしでも美味しいって思えるくらいには』

「酒は飲まないタイプか?」

『あまり味が好きになれなくて…甘いお酒なら飲めるけどそれでも量は少ないかな。すぐ眠くなっちゃって。お店にキャストさんもいるんだけどお客さんに合わせて飲める彼女たちは本当に凄いと思う』


ウェイトレスのわたしとは違い、派手すぎないセクシーな服を着てお客さんを回りながら接客をして飲む彼女たちは美人だし聞き上手だしお酒にも強くて尊敬する。


「ホステスがいるのか」

『うん、普通に飲むこともできるし、希望すればキャストさんを席につけることもできるよ。美人さん揃いです!』


やっぱりバッキーも綺麗な女の人好きだよね?そう思いながら自分で焼いたクッキーを口に入れた。うん、美味しくできてる。


「君は指名できないのか?」


コフッ、と噛み砕いたクッキーが喉に詰まった。
バッキーが心配そうに紅茶を差し出してくる。


『ケホッ、ん、…わたしはウェイトレスだから指名枠にいないかな』


っはあ〜、と呼吸を落ち着かせる。びっくりした…。


「それは残念だ」


下唇をつきだし、いつも上がっている口角を下げて本当に残念そうな顔をしながらコーヒーを飲むバッキーにまだ動悸が落ち着かない。




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