【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
ロンさんもこちらに気付いて、「ミアちゃん!」と呼びながら、おいでおいでと手招きされた。
なんだろう?と思いながら、『お疲れ様です』と声をかけるとロンさんの陰からルドルフさんもひょこっと顔を出す。
「よう、嬢ちゃん。デートか?」
『えっ』
ルドルフさんがわたしの後ろに目をやった。それに釣られて同じく後ろを見ると少し離れたところからバッキーがこちらを見ていた。どうやら呼ばれたのはわたしだからと、離れて待ってくれているらしい。
それに気付いたロンさんがバッキーを指さしてわたしにしたのとは手が逆で手のひらを上に向けて指をクイクイっと、まるでカンフー映画などにあるような挑発するかのような来い来い、というジェスチャーをしながら口パクで「あんたもよ」と言った。
バッキーも同じように合流すると、ロンさんが「紹介するわね」と口火を切った。
「私の知り合いのジョン・レオポルドよ」
40代くらいかな?髪をかっちりとワックスで固めて髭も綺麗に剃ってあり、オシャレなスーツを着こなしている。
そんなレオポルドさんが「こんにちは」と答えながらわたしの手を取って、甲にキスを落とした。
そんな挨拶をされたことがなくて思わずドギマギする。
『こ、こんにちは…ミア・ミラーです。こっちが…』
「バッキー・バーンズ」
バッキーが言いながら目だけで挨拶をすると、レオポルドさんは握手を求める。それに渋々といったような感じでバッキーも応えた。
「今日、彼主催のパーティーが開かれるらしくてね、招待されたんだけど私もルドルフも仕事でしょう?でもせっかく招待されたのに行かないのは勿体ないじゃない?」
…パーティー開く人と知り合いって…ロンさんって顔が広いなぁ…。
「そこでミアちゃんグッドタイミング!」
『え?』
「私達の代わりに行ってきてちょうだいよ」
ニコニコと提案するロンさんに言葉を失う。そ、そんなちょっとおつかい行ってきて、とでも言うかのように軽く言う話じゃない気がするんですが……。
『パーティーに、ですか?』
「ええ」
決まってるじゃない、とロンさんがニッコリ笑う。