【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
1番後ろの席へと、席の横に通る階段を上る。
先に階段を上がるミアの尻を凝視してしまう。
先程の子供はこの尻に抱きついたのか。
今はカーディガンで見えていないが、ミアの尻は控えめに言って良い形をしている。肉付きも程よくて、腰から尻、足へのボディラインが綺麗だ。
俺のTシャツを着ている時だって触りたくなるのを堪えたというのに、あの少年は……
『スクリーンの中心のとこが空いてて良かったね』
「そうだな」
1番後ろの席に並んで座る。
ミアは人が後ろに居ないから安心出来る、と話していた。それに同調したが、恐らく俺とミアの「安心」の意味合いは違うだろう。
俺としては人が後ろにいるというのは危害を加えられる可能性があるから安心できないという意味だ。多分反射で殺られる前に殺ってしまう。さすがに殺気のない場合は大丈夫だと思うんだが…。
公開予定の映画の予告が流れ始めて、ミアは真っ直ぐにそれを観ていた。どうやら本編以外もしっかり観るタイプらしい。
その横顔を観察する。時折微妙に反応するあたり、何か気になる映画でもあったのだろう。
俺の視線に気付いたのか、ミアがこちらを見て『??どうかした?』と小声で話す。「なんでもない」と返すと、不思議そうな顔をしつつも『そう』と言ってスクリーンへと視線を戻した。
『はあ〜〜面白かったね!』
映画を観終わり、チケット売り場があるエントランスの方へ足を進める。
映画は期待通り、アクションシーンも多く、謎が謎を呼ぶストーリー進行がとても面白かった。その合間合間にクスッと笑えるようなジョークもあってもしかして俳優さんたちのアドリブだろうか?という想像も出来た。
「昨日のうちに前の作品を予習しておいて良かった」
「おかげで話が全部分かった」とバッキーがわたしにお礼を言ってくれた。
お礼を言うのはわたしのほうだ。わたしのオススメをバッキーが履修してくれたおかげで今日、一緒に続編を観て、同じ時間を共有できた。
『本編の前の公開映画の予告でも気になるのが──────あれ?ロンさん?』
視界の端に長身のスキンヘッドが見えた気がして視線を戻すと、男性の背の向こうにロンさんがいた。