【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
そして今日。
昨日はバッキーに乗っかって寝ていたけど、今日は抱きしめ合うように寝ていた。
バッキーの頭を胸元で抱きしめ、足は抱き枕にするようにバッキーに乗せて。ワンピースのボタンを2つほど外してしまっていたせいでバッキーの顔が肌に直接当たっていた。思い返せば思い返すほど、体が熱くなる。
起きたバッキーは小さい子のようで可愛らしかったし、起きるかと思ったらまた抱きしめ直してくれたのも嬉しいと思った。
この感情は友達───────なんだろうか?
自分で言うのも変だけど、短期間でもこれ程までに仲良くなった人がいない為、これが普通なのかそうじゃないのかが分からない。
どこまでが友達でどこからが友達じゃないのか。
何にせよ、バッキーなら何も嫌なことがない。それだけは確か。
シャンプーを洗い流しながら、そっと自分を抱きしめてみた。
やっぱり、誰かに抱き締められるのとは全く違う。
人の体温が交わるだけであんなにも安心出来るものなんだ。
両親を亡くしてから誰かに抱きしめられたことはあっただろうか?
シャワーを浴び終えて歯磨き、ドライヤーで髪を乾かすまですると洗濯が終わっていた。乾燥機に入れ直し、また部屋へ戻り、晩酌の片付けに取り掛かる。
わたしが寝てしまった後、バッキーがちゃんとテーブルをベッドから遠ざけてくれていたり、テレビの画面も消してくれていたおかげで大惨事は起きていなかった。
自分の支度はあらかた終わっているから、あとは乾燥機が終わるのを待つだけ。その間に洗い物でもしておこう。
洗い物をしながら、朝ごはんを食べていないことを思い出した。
映画を観に行くことしか考えてなかったな…。
残り物ではあるけれど、昨日のポトフと付け合せのパンと一緒に買ったサンドイッチがある。
…バッキーは朝ごはんどうしたかな?
洗い物を途中で終わらせて手を拭く。
部屋を出て隣の部屋のベルを鳴らすとすぐにバッキーが出てきてくれた。
ドックタグがチャリ、と鳴る。
「準備終わったのか?」
『あ、ううん、ごめん、あとちょっと。朝ごはんどうしたかなって思って』
「食べてないな」
『昨日と続けてで良ければポトフと、あとサンドイッチあるんだけど…』