【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
───────何故こうも無防備なのだろうか。
ずれた布団を整えながら思考する。
もう少し警戒心を持ってもらわないとどこまで踏み込んでいいのだろうかと考えてしまう。どこまでも踏み込んでいいはずがないのに。
時折、ミアの反応で「もしかしてミアも俺のことを───────」と思うこともある。
ただ彼女は異性になれてないだけで誰にでもこうなのでは?とも思う。
しかし催眠術にかかった時、俺のシャツの匂いを嗅いで安心したような表情をしていたり、元に戻って自分の部屋に帰ったあとも俺と同じシャンプーの匂いをさせていたりするのを見ていると「もしかして」と思いたくもなる。
そうやって仮定を考えていても結局は「こんな俺が想いを寄せたところで迷惑だろう」という結論に至る。
どれだけ平穏を望んでも、それだけの資格を持ち合わせていない俺はいずれ何かしらの問題を持ち込んだり巻き込まれたりするだろう。
恐らく禍根の中心には俺がいることだってあるはずだ。
そんな奴がミアのような一般女性のそばに居ることは彼女を危険に晒してしまう。
頭の中をずっと終わりのない問のように巡ることを考えている間もミアの安定した呼吸が聞こえる。
考えるのを止めてその呼吸に意識を向けてみる。
自分の呼吸もそれに合わせるとゆっくりと睡魔がやって来た。
右腕をミアの首に差し込み、そのまま少し自分の方へ引き寄せ、頭にキスをする。
ミアにバレないようにひっそりと。
俺がしていることは好きでもない奴にされたら気持ち悪いことだろう。
ただ今は少しだけ自惚れていたい。
ミアにとっては気持ち悪い事じゃないと。
俺だからこそ、こんなに無防備でいられるのだと。
ミアの寝顔を見ながら、意識を後ろに引っ張られるような感覚に身を任せた───────
ガンガンと頭に感じる痛みに、煩わしさを覚えながら意識が浮上した。
それに寝返りを打つのも億劫な重みも感じる。
何かに絡みつくようにしている足を戻そうとすると何かにぶつかった。