【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
しかし、意外にもミアが選ぶ映画はどれもラブストーリーがメインというよりもミステリーやアクションがメインで、恋愛事情はその付属品という物が多い。
見た目によらず、ミステリーやアクションが好きなようだ。
とは言ってもホラー系は別物のようで、やはりビクビクと体を震わせている。
『ふぅぅ〜…』
堪えるような声が漏れてくる。
ホラーを観るにあたって、『もう少し酔った頭にしておきたい』と言って酒のペースをあげていたミア。
ここまでビクビクしていたら意味は無さそうだが───────
トス、と左肩に重みを感じる。
布団を被り、包まったミアが倒れかかってきた。
テレビに映画が映されたままで、ミアが使っていたグラスにまだ酒が少し残っている。
ビクビクしているのが止んだと思ったらユラユラと揺れていたし、多分寝かかってたんだろう。
肩に寄りかかるミアを抱き寄せ、もう片腕でベッドからテーブルを遠ざける。
───────酒を飲んだら眠くなるって言っていたな
酒の味があまり好きではないはずのミアにしてはよく飲んだ方だろう。
あれだけ怖がっていたホラーを観ている途中で寝るとは思わなかったが。
今ここでミアを1人残したところで、俺が部屋を出ると鍵が閉めれないだろう。普段から鍵を閉めるようにと口うるさく言っている俺がミアの部屋の鍵を開けっ放しにする訳にもいかない。
そう言い訳をしながら、テレビの画面を消し、片腕で抱き留めていたミアと一緒に横になった。
壁側になる右側にミアを寝転ばせる。
本人に黙って同じベッドで寝るのは気が引けるが、第一、1人で先に寝るミアが悪いんだと言い訳をする。
ミアのベッドにはもちろんミアの匂いがついている。
クッションだけではなく、全身がミアの匂いで満たされて落ち着く。
どうしてこうもミアの匂いは落ち着くんだろうか。
安定した一定の間隔で彼女の寝息が聞こえる。
呼吸に合わせてミアの胸が上下するのをまるで思春期のガキのように凝視してしまう。