【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
『あ、それでね、今この映画の3作目が公開されてるの』
「そうなのか」
『明日でも観に行こうかなって思ってるんだけど』
出来れば一緒に観てまた同じように語り合いたいんだけどなあ…と思いながら切り出すと、バッキーは躊躇うことなく「俺も行く」と快諾してくれた。
誰かと映画を観に行くなんてかなり久しぶりだ。
いつも1人で観に行っていたから、いつも以上に心が踊る。
1人で観るのが嫌いな訳じゃないけど、やっぱり誰かと観に行ってどう思ったかとかあそこはこういう意味だったのかとか答え合わせのように感想を言い合うのも魅力的だ。
『あ、そろそろポトフも食べる?』
「そうだな…」
『ついでくるね』
キッチンのポトフを温め直す。買ってきたパンをちょうどいい大きさに切ってお皿に盛ってテーブルへ運ぶ。
『何か気になるものがあればこれで』
コントローラーをバッキーに渡して軽く操作を教える。
「気になってたんだが、君はゲームするのか?」
『うん。でも最近はこうやって映画とかドラマを観ることが多いかなあ』
カタカタとコントローラーの方向キーを押しているバッキーを見て、ふふ、と笑ってしまった。
「なんだ?」
『なんだかバッキーとゲームって想像つかないなって。今もなんか似合わないな〜って思っちゃって』
「…確かにゲームはしないな」
『あ、その映画』
カーソルが止まった映画に見覚えがあった。
前にその映画が公開された頃、『観てみようかな』と思っていたが結局観損ねたものだった。
「じゃあ次はこれを観よう」
『いいの?バッキーは何か気になるもの無かった?』
「最近は映画にも疎いからな。だからミアが観たいのを観たい」
『そっか。じゃあちょっと待っててね』
ポトフが温まったのを確認し、お皿についでテーブルへ運ぶ。
お菓子も食べたし、ポトフとパンでもお腹いっぱいになるはず。
デザートに甘いものも準備しているし。
『じゃあ再生するね』
コントローラーの丸ボタンを押して、クッションを膝の上に置く。
何気なく振舞ってはいるけれど、実際は結構胸がドキドキしている。
ピッタリくっついている訳では無いけど、自分のベッドにバッキーと並んで座って映画を観るというのはなかなか緊張する。
料理を作っている時はそんなこと無かったんだけど…