【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
そう聞いてきたバッキーの顔はさっきと打って変わって、眉尻を下げて少し寂しそうだった。
『ううん。大人だなって思って。わたし、小さい頃は自然とバッキーみたいにお酒を嗜んだり、1人でバーに行ったりするんだと思ってたけど全然そんなことなくて。だからちょっと憧れる…かな』
「…何を大人とするかは人それぞれだからな。ミアは今のままでいい」
バッキーの右手が頬に触れ、優しく撫でられた。
真っ直ぐな瞳に見つめられると気恥しいのに目が離せない。
『今度どこかのBARに乗り込んでみる』
パッと恥ずかしさを誤魔化す為に出た言葉にバッキーがしかめっ面をした。
「心配だからやめてくれ」
『じゃあその時はバッキーも一緒ね』
そう言うと、驚いた顔をしてすぐに「分かった」と笑った。
『じゃあ〜映画、わたしのオススメからでいい?』
「ああ」
『そのあと、わたしが観たいけど観れてないものでもいい?』
「もちろん」
『怖いやつなんだけど…怖いの大丈夫?』
「俺は別に構わないがミアは大丈夫なのか?」
意外だな、という顔をされるけどそうじゃないの。
むしろ───────
『怖いから観れてないの』
そう答えると「は?」という顔をされた。
矛盾しているのは分かってるんだけど怖いもの見たさってあるじゃない。
けど怖いのは怖いし。けど気になる。
『ひとりじゃ怖くて観れないから…バッキー、ホラー系大丈夫ならわたしも安心して観れるかなって』
「なるほどな」
クク、と喉を鳴らすようにバッキーが笑った。
「つまりあそこでもう気付いてたんだろ?」
『うん、そう。だからこそわざと引っかかったフリをして懐に入ったんだと思う』
わたしが過去に観たことのある映画をふたつ続けて観て、その映画の内容について2人で考察を話し合う。
─────語れる人がいるって素晴らしい……
わたしがようやく2杯目を飲む時にはすでにバッキーのグラスは何回も空いていた。その度に注ぐけど本当に底が知れないというか…全然酔った感じはしないから、本当にお酒が強いんだろう。
反対にわたしは2杯でも割とキてる。頑張って喋ってるんだけどもしかしたらほにゃほにゃと言葉がハッキリしてないかもしれない。