【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
具材を切り終わったバッキーが空いた時間に自分の部屋からお酒をケースごと持ってきてくれた。
テレビと向かい合うベッドをソファー代わりにして、ベッドのサイドテーブルとして使えるテーブルをセッティングしてその上にグラスを2つ並べて、足元にお酒の瓶と買ってきた菓子類をスタンバイ。
『準備バッチリ』
ベッドにクッションも用意して、バッキーにそこへ座るように促す。
『ようこそ、ミア"s BARへ〜』
わたしが言うとバッキーがくしゃっと笑う。
『ご指名は?』
「言わせるのか?」
片眉は上げてもう片方の眉は下げるというなんとも表情豊かな顔でバッキーが言う。
『お店で言われることないから聞いてみたいなって』
「…ミアをここに」
仕方ないな、と優しく微笑みながらバッキーの隣をポンポンと示してくれた。
『喜んで』
嬉しさを噛み締めながら、ケリーさんやキャストさんたちのような仕草を意識してベッドに腰かけた。
バッキーのグラスと自分のグラスにお酒を注いで、お互いにグラスを軽く持ち上げ、カチン、と音を鳴らす。
そのままグラスに口をつけると、慣れない味と慣れない刺激が喉を刺激する。噎せまではしないけど、ゴクゴクと飲むことは出来ず、ゆっくりチビチビと喉へ送った。
「無理はするなよ」
その様子を心配そうにバッキーが見ていた。
『大丈夫。ゆっくり飲むし食べ物も用意してるから』
空きっ腹にお酒を飲むと酔いが早かったり気持ち悪くなったりするから、十分に食べ物は用意した。
もう少し日が暮れてきたらポトフとパンを食べよう。
『今日はオールしよう!』
「…起きてられるのか?」
『大丈夫!…今朝はゆっくり寝かせていただきましたし…』
上半身裸のバッキーの上で、とは言わないでおく。言わなくても分かってるだろうしね…。
「そうだったな」と相槌を打ちながら、バッキーは早くもグラスを空にした。
『早いね』
「君がいると酒が進む」
ニッ、と口角を上げながらグラスをこちらに傾けるので、追加のお酒を注ぐ。
『…バッキーって慣れてるよね』
君がいると酒が進む、なんて言葉をサラッと言えてしまうんだもん。大人だ…。
「嫌か?」
『え?』