【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
『ただ?』
「あまり食べ過ぎると太るぞ」
斜め後ろに立っていたバッキーが言いながら距離を詰めてきた、と思うと、お腹に手を回されて、フニ、と優しく掴まれた。
『?!』
バッ!と音がしそうなくらい勢いよくバッキーを見上げると口元に笑みを浮かべて揶揄うような顔をしていた。
な、なんかバッキーの距離感が前より近い気がする…!
その度にわたしだけドキドキしてるようで、余裕のあるバッキーを見ていると、やっぱりわたしのことを女性としてでは無く、子供として見ているんじゃないかと思えてくる。
もしくはただただ揶揄い甲斐のある玩具とか。
ムゥ、と思わずぶすくれてしまう。
その顔でバッキーを睨んでみても「ハハッ」と笑うだけで相手にされない。
『もしかしてバッキー、誰かと入れ替わってたりする…?』
「何言ってるんだ?」
つい口を出た言葉にバッキーが首を傾げる。
『いやぁ…なんでもない…』
今までより距離近いよね?どうして?なんてストレートに聞ける訳もなく、曖昧に濁した。バッキーは不思議そうな顔をしながらもそれ以上追求してくることはなかった。
『ほんとに沢山荷物もってくれてありがと』
軽くできそうなおつまみの材料や、夕飯の食材を買ったらいつもより荷物が多くなってしまった。
1人分ではなく2人分というのもあるけど、お菓子もたくさん買っちゃったもんなあ。
「これくらいどうってことない。俺の分でもあるしな」
隣を歩くバッキーは軽々と荷物を持ってくれている。そのおかげでわたしはパンが入った紙袋を抱えてるだけ。
全額バッキーが出そうとしたけど、そこは割り勘にしてもらった。
2人分だけど中にはわたし個人の買い物もあるし。
2人で買い物をして帰るってなんかいいなあ…。
わたし達2人は周りの人にはどう見えてるのかな…そう考えながらガラスのショーウィンドウを見た時、ちょうどあるものが目に付いた。
あ、黒猫のぬいぐるみだ…
どうやらぬいぐるみ屋さんのようで、ショーウィンドウには色んな種類、色んなサイズのぬいぐるみが展示されていて、天井からリボンや布が伸びている。