【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
ミアが部屋へ戻って行った後、玄関の扉を閉め鍵をかけて自分の部屋を振り返ると途端に、いつもの自分の部屋が殺風景に感じた。
───────それにしても…
自分と同じシャンプーの香りがするミア、
自分のシャツを着たミア。
そんなミアがぴったりとくっついて寝た昨日は本当に悪夢を見なかった。
それどころか夢にまでミアが出てきて起きるのが勿体ないくらいだった。
起きてもミアが居たことは何よりも良い事だった。
元に戻ってるとは思わず、つい撫でてしまったが、嫌そうな素振りはなく、むしろ去り際に『これからもいっぱい撫でてね』なんて言っていく始末。
…彼女は俺をどうしたいんだ。
これからも昨日のように沢山触れていいのだろうか。
しかし触れていいと言われると箍が外れそうだ。
もう少し、俺にも警戒心を持った方がいいと忠告してやりたいが、それはそれで寂しい。もし距離を置かれたら───────考えるだけでも胸が痛い。
今はまだ言わないでおこう───────
自分の部屋に戻った後、1番に自分の匂いを嗅いだ。
髪はいつものシャンプーとは違う匂いがするし、指先しか出ないくらい大きなロングスリーブシャツはバッキーの匂いがする。
…人の匂いってこんなに安心するものなんだ…
って、1人になった途端に匂い嗅ぐって…これじゃあわたし変態じゃん!と慌てて嗅ぐのをやめた。
シャワーに入り直した方がいいかもって言われたけど、まだバッキーと同じシャンプーの匂いを消したくないな…。
シャツはさすがに着替えないといけないけど…。
まずは歯磨きをしよう。
髪もドライヤーで乾かせなかったとはいえ、ごわついてないし、櫛で梳かしてしまえば大丈夫そう。
一通りの準備を終えて、お出かけ用のバッグを持つ。
今日は紫のワンピース。腰紐が通っていて、ウエスト辺りを絞れるからラインもしっかり分かれて寸胴に見えない作りになっている。
無地の靴下にストラップのついたヒールが低めのパンプスを合わせる。
よし、バッキーを呼びに行こう。