【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
『ううん、よく分からないけど…バッキーに撫でてもらったら安心するから大丈夫…』
ドキドキもするけれど、何故だかすごく安心もする。
わたしの手と違い、男の人らしくゴツゴツした大きな手。その逞しさからか、触れられると心臓が高鳴るけど、それと同時に安心する。矛盾してるけどこの矛盾が好きなのかも?
「そうか」
優しく笑ったバッキーに『だからこれからもいっぱい撫でてね』と言うと眉間に皺を寄せて「そういうことは俺以外に言うなよ。絶対に」と言われた。
う〜ん。バッキー以外に撫でてくれる人もいないんだけどな。
「酒はあとで部屋に持っていく」
『うん、分かった。じゃあ準備出来たら呼びに来るね?あ、でもお酒は夜にする?』
「君はどうしたい?」
『う〜ん…出来れば準備出来次第、映画観たいかな。観て欲しいのはたくさんあるの』
わたしが観たものも一緒に観て感想を言い合いたい。考察語りとか。
でもわたしのワガママばかり聞いてもらうのも忍びないなあ…。
「ちなみに準備っていうのは?」
『食べ物もあった方がいいなって思って、おつまみとか普通に夕飯も準備しようかと思ってた。その、まさかお昼まで寝ちゃってるとは思わなかったけど…』
まさか催眠術にかかって猫になっちゃって、人の家でお昼まで寝てるなんてことになるとは思わなかった。
今から歯磨きとかもしたいし…わたし今口臭くない???うわぁ、気になりだしたら不安になってくる。
「じゃあその準備、俺も手伝う」
『えっ』
「買い物に行くなら荷物持ちになるよ。だからミアの身支度が終わったら教えてくれ」
優しく目尻にシワを作って笑いかけてくれるバッキーに心の底から感動した。
昨日のわたしはさぞ醜態を晒しただろうにここまで優しくしてくれるなんて…!なんて出来た人なんだろう…!!
『ありがとう、じゃあまた後で』
「ああ」
お酒のケースからカバンやシャツ等を取り出してブラジャーはサッとカバンの中に隠し、お酒のケースの横に揃えられた靴を履き、バッキーの部屋の玄関の扉を開けた。
隣とはいえ、これが初めての朝帰りならぬ昼帰り……。