【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
昔なら「たかが催眠術。本当にかかるわけないだろ」等と言ってのけたかもしれないが、現在の俺は洗脳されていた身である。
絶対に無いとは言いきれない。
擦り寄っても何もしない俺に飽きたのか、ミアは軽やかに階段を上がりつつ、また服を脱ごうとしていた。
「待っ」
待ったナシだ。まだ二本足で歩いていることは救いなのかもしれない。
そこで1つの不安が過ぎる。
この状態でミアを部屋に帰して大丈夫なのか?
1人にしたら部屋がすごいことになるのでは…
かと言って彼女の部屋に本人が了承してない状態で俺が入る訳にも…ましてや彼女のカバンを探って鍵を出すのも…
それにもし部屋に帰しても自分で鍵を閉めれるのか?
……俺の部屋なら物が少ないし、何があっても対応できる。
連れ込む、と言うと聞こえが悪い気もするがその方がマシな気もする。
───────とりあえず裸になるのを止めさせなくては。
ミアはベストとシャツを脱いでしまってキャミソール姿になっている。
カバンは放ったらかし…ミアが手放していったものを酒のケースに回収しながらミアに近づくと、また擦り寄ってきた。
「…」
ひたすら無心になることに集中する。
普段こんなに密着してくることなんかないのに───────いや、昼に寝てる間に密着していたが。
擦り寄ってくるおかげで目を少し離していても勝手なことをすることはなく、すんなりと自分の部屋の鍵を開けることが出来た。
「Hey、入ってくれ」
細い腰に手を回しながら部屋へ入るように促すと、思いのほか、大人しく中へ入っていった。
自分も部屋に入り、鍵を閉めてその場に酒とミアの服やカバンが入ったケースを置いて振り返る───────
「…!」
ミアが今度はズボンを脱いで、下着とキャミソールだけの格好になっていた。そして今まさにそのキャミソールを脱ごうとしている。
「待て待て待て」
それ以上は、と焦りながらその腕を掴むとかなり不機嫌そうな鳴き方をされた。
「それ以上は困るんだ、俺が」
宥めるように言っても聞こうとしない。
というか何でこんなに服を脱ぎたがるんだ?
猫のようになっているということは…服の締め付けが嫌なのか?