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【MARVEL】This is my selfishness

第7章 7th



ロッカー兼休憩室のこの場所は喫煙OKなのだ。キャストさん達は喫煙者が多いため、割とこの空間もタバコの匂いが充満している。



『離れたくないみたい…?』


どういうことだろう。



「1杯分しか付き合わないって言うから、せめて1瓶分ってお願いしたのよ。そしたらその1瓶を一気飲みして貴女がいるカウンター席へ戻って行ったわ」



…そういうことだったの…。
ケリーさんに誘われても乗り気じゃないような様子だったバッキー。

でもさすがにわたしから離れたくなくてすぐに戻ってきたというのは飛躍しすぎじゃないだろうか。


『多分…疲れてたんだと思います。最近寝不足だったみたいなので』


ケリーさんのような美女と飲む時間をわたしに充てるなんて考えられない。
しかもケリーさんから指名料はいらないと言われている状態で。
きっと寝不足が続いていたのが原因だろう。
あとちょっと人見知りなのかも。猫みたいなとこあるし。



「ふぅ〜ん」と納得出来たのかそうじゃないのか微妙な返事をしたケリーさんと他のキャストさんに挨拶をして、荷物を取りだし、バッキーが待つ裏口へ向かった。







裏口のドアを開けると、お酒の瓶が入ったケースを持つバッキーが待っていた。



『お待たせ​────ケースごと?』

「持ちにくいだろうから、だと」

『なるほど』



入っているのは5本程度とはいえ、まあまあの重量がありそうなケースをバッキーは片腕で持っていた。
…力持ちだなぁ。
わたしも持とうか、と申し出てみたけど即答で断られた。




「帰るぞ」

『うん』



当たり前のように一緒に同じアパートへ帰れるのが凄く嬉しい。



弾む気持ちを楽しみながら歩いていると、バッキーが「あの男…」と切り出した。



『あの男?』

「新人の」

『ああ、アレックスね』

「随分と仲良くなったんだな」

『うん?そう…かな?』


随分と、って訳では無いけど、キャストさん達と比べたら断然アレックスとの仲の方が良いなあ。キャストさん達と仕事中に交わす言葉って言ったら注文くらいだし。



「俺がカウンターを離れた時、2人で何してたんだ?」

『バッキーがカウンターを離れた時は​​───────あ、催眠術かけられてた』

「催眠術?」




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