【MARVEL】This is my selfishness
第7章 7th
「……」
「ちょっとは進展、ないの?」
「…何のことだかわからないが、明日、ミアに晩酌してもらいながら映画鑑賞する予定だ」
今日決まったばかりの予定。
ミアが引っ越してきた頃に部屋に邪魔して、初めての【お茶会】を開いてもらって以降、少し久しぶりにミアの部屋に入る。
「さっきも聞いたわよ。でもお酒飲むの?ミアちゃんが嫌がるようなことしたら許さないわよ」
鋭く睨まれる。
「さっき彼女にも言ったが、俺は酔わない」
「酔わなくても据え膳とか言って手を出すのは絶対ダメよ」
「そんな無責任なことするか」
そんな奴に見られてたのか、俺は。
昔ならいざ知らず、今の俺にそんなことする気はさらさらない。
ましてやミアに対して、生半可な軽い気持ちで手を出す気はない。
─────手を出していいならとっくに出してる。
「お酒、持って帰ってって言っといたでしょ?あんたなら4~5本余裕よね。帰りにミアちゃんの分と合わせて持って帰って頂戴」
「ミアは酒を飲まないだろ」
「どうせあんたが飲むわよ」
まだ数回しか会ったことないが、随分と勝手知ったる仲のように接してくる奴だ……。
アレックスに仕事を教えてフロアに戻ってくると、ロンさんが「ミアちゃんの分、この人に持たせるから」とバッキーをクイ、と親指で示した。
『え?』
「明日のこと話したら俺の分も酒をくれると」
親指で指されたバッキーが説明してくれた。
『え、良いんですか?』
「良いわよ〜〜他の人には内緒ね」
パチン、とウィンクをするロンさん。
お礼を言っても感謝しきれない。
仕事を終えて、荷物を取りに行くと、ケリーさんが他のキャストさんと話していた。
わたしが入ってきたことに気付くと、「お疲れ様」と声をかけてくれる。
「あの人、あんな一気にお酒を飲んで大丈夫なの?」
『代謝が良すぎて酔わないって言ってました…急性アルコール中毒とかにはなってないみたいですけど…』
「そう…それにしても彼、よっぽどあなたから離れたくないみたいね」
フゥ、とタバコの煙を吐き出す。