第1章 01
「お前らだりぃな」
昨日と同じように、背後から声が聞こえた。
「は、半間くん!?」
「ちが、これは…」
何が違うのだろうか。別に彼はこの状況をどこかに言いふらすような人じゃない。そんなに焦らなくてもいいと思う。
「どーでもいい。ウルセーからどっか行って」
彼女たちは転ぶ勢いで走り去った。私もここから離れようと、歩き出したが、首元に彼の刺青の入った手が回った。
「お前さ、怖くねぇの?」
「それは、今の貴方の行為に対してでしょうか?それとも、彼女達のことでしょうか」
「んー、どっちも」
彼は腕を避ける気は無い。抜け出せるだろうが、その意味が無い。
「彼女たちに対しては特になんの感情も抱いていません。半間くんに対しては…よくわからないです。私はなぜ、半間くんに引き止められているのでしょう」
「なんとなくだなぁ。なぁ、あんた名前は?」
「日浦弥月と言います」
「みつき、弥月ね」