第5章 05
折りたたみのナイフの刃を出し、弥月に手渡した。簡単に手に入るものだ。1度突き刺しただけでは人は殺せないだろう。
弥月は躊躇わずにそのナイフを掴み、男の目に突き刺した。広い倉庫内に男の叫び声が轟く。足を折っているから、逃げたくてもそこから逃げ出せない。
腹に腕に、弥月は無表情に何度もナイフを突き刺した。白い肌が赤く染る。その血があの男のものだと思うと、とても腹が立ったが、赤くなる弥月を美しいと思った。
グチャりと音を立てて弥月に近付いた。
「弥月、それもう死んでんぞぉ」
「足りない…なんでこんなに簡単に死ぬの?私は、何年も苦しまされたのに、なんでこいつはこんな簡単にっ!!」