第3章 03
叔父は家出をした私を探すことなどしない。警察に通報して私が見つかれば、困るのは叔父の方だ。私の体には、たくさんの虐待の跡がある。私は叔父の報復が怖くて今まで警察に行くことは無かった。
でも今は、叔父の逮捕など考えていない。そんな楽な償い方はさせない。
叔父のことを考えイラつき始める。思わず力が入り、人参をダンっと音を立てて切ってしまう。勢い余って、添えていた左手の指を深く切ってしまった。痛みに鈍くなっているのだろうか。流れる血を見ても、痛みを感じられなかった。
「傷に菌が入んだろ」