第3章 03
「広いですね」
「ああ」
玄関からすぐのドアを開けるとLDKの広い部屋が広がっていた。リビングの隣は寝室のようだ。浴室もトイレも別で、マンションの一室なのに、私の家よりも広く感じた。
彼がお金持ちなのが嫌という程伝わる。どこからそのお金が湧いてきているのかは、聞かないでおく。
「あとこれ、持っとけ」
彼から渡されたのは少し表面のはげた携帯。前使っていたらしく、今は別のものを使っているから渡してくれるらしい。
「俺しか登録してねぇから。まぁ他は必要ねぇだろ」
「ありがとう、ございます」
自分の環境がどんどん変わっていく。自分で選んでここに来たけれど、とても馴染めそうにない。
「寝室は一緒でいいだろ?まぁ夜はほとんどいねぇから勝手に寝とけ」
不良はやっぱり夜行性らしい。何をしてるかは私には関係のない事だから、尋ねる必要は無い。