第2章 02
「俺ん家に行くかぁ?」
「え?」
「家賃もなんも気にしなくていい、俺の所から学校に行けよ。どうせひとり暮らしだし」
驚いて半間くんの方を見ると、冗談ではないと言って見せるように、真面目な表情で私を見つめていた。でも、わからない。どうして彼は……
「なんで、そこまでしてくれるんですか?」
「さぁな、考えるのもだりぃわ」
ここでもやはり、彼は気分屋を見せる。もしかしたらその気まぐれは短期間かもしれない。だけど、初めて見つけた逃げ道。心が休まる場所。私は迷わず手を取った。
この時間は叔父も家にいないから、私は必要なものをまとめ、半間くんの家に向かった。着古した私服などいらないと、教科書やほかの勉強道具、そして両親の写真を持って家を飛び出した。