第2章 02
彼と入ったのは近くにあったファミリーレストランだった。平日の昼だから、子連れのお母さん方が多い。ファミレスなんて、何年ぶりだろうか。両親が生きていた頃に数回行ったきりだ。それこそ、お子様ランチしか知らない。
私はミートソースパスタを選び、半間くんはステーキを食べている。半間くんは細く見えるけど、男の子だから意外と食べるみたいだ。私の胃には多かったパスタも残りは半間くんが食べてしまった。
昼食後、再び半間くんの後ろに跨り、道路を走り抜けた。抱きついたところから伝わる体温。他人の体温が怖くない。むしろ安心する。怖い夢を見なかったのも、半間くんがいてくれたからかもしれない。
しばらく走って、どこかの道の駅でバイクを止めた。トラックの運転手がまばらに休んでいる。広場のベンチに腰掛けて、半間くんが買ってくれた紅茶に口をつける。
「家、帰んの?」
「そうだね、怒られちゃうから」
「携帯もねーくせに、どうやって呼び出されるんだよ」
「それもそうだね」
だけど、帰らなきゃ行けない。学校の道具も数少ない服もあの家にはある。それに、私がいられるのはあの家しかないから。