第1章 1章―夏祭り―
―さやかの家―
ガチャ
家に着くと疲労感におそわれた。
今日も疲れた…。
カイラがいなければ確実に迷子になって今頃まだ家にたどり着けていない。本当に感謝しかない。
エンマ…やっぱり今日もあそこにいた。
少しだけど話せてよかった//
お風呂の支度をしながらエンマとのやりとりを思い出すと、自然と口元が緩む。
学校を卒業してから、お互い全く会う機会がなかった。
そんなある日、宮殿の図書室への出入りを特別に許可してくれたエンマ。学生の時ほどではないが、また会えるようになり正直嬉しかった。
もっと頑張らなきゃ。
エンマは、私がぬらりひょん様に憧れて側近を目指してると思ってるだろうけど(それも少しある)
本当の憧れはエンマの方。
まだ若いのに決断力と皆を導く力がある。そんな彼の側近として力になりたいと惹かれたのだ。
また、私にはどうしても会いたい人物がいた。
エンマは人間の魂の選別をすることもあったため、もしかしたら会えるかもしれないという期待もあった。
キュッキュッ――
蛇口をひねりお湯を止めるさやか。
しかし、ぬらりひょん様に敵う者はおらず、私が側近になれるのも何十年、いや何百年先の話になることやら…
もしや一生なれないかもしれない。
可能性は大いにある…。
『はぁ…』
さやかはため息がもれた。