第1章 1章―夏祭り―
さやかは同じ妖怪学校に通っていた同級生だ。
クラスでは、先代のエンマ大王の子孫がいるというだけで人だかり…いや、妖怪だかりができていたがさやかは違った。
近寄ってくることも話しかけてくることもなく、たまにじっとこちらを見ては窓の外へと視線を向けていた。
そういえば、影からこっちを見ていた奴もいたな。いや、睨まれてたと言うべきか…。
そんな奴もさやかと話している時は、穏やかな普通の少年のようだった。毛先にちょっと癖のある青い髪……蛇王カイラだ。
さやかも人間のような容姿で、髪は長く、とても綺麗ないろの瞳をしている。
たまに見えるさやかの笑顔にクラスの妖怪達は心を鷲掴みにされていた。
はじめてさやかに話しかけたとき、とても慌て…なぜか逃げられた。
それから毎日話かけていくうちに少しずつ打ち解けることができた。
さやかとの会話はとても楽しくあっという間に時間が過ぎてしまう。
会話をしているうちにとても勉強熱心であることがわかり、宮殿の図書室の利用を特別に許可した。大切な書物もあるが、さやかは悪用しないし大丈夫だろうと妙な確信があった。