第1章 1章―夏祭り―
手すりに手をかけ身を乗り出すエンマ。
「さぁて!今日はどこ観察しようか!」
仕事で疲れていてもこの観察は別であった。
早速見つけたのはナガバナナ。
バナナを大量に運んでいる。あとは…お面??
あれは…そうだ!人間界の夏祭りだ!もうそんな時期だったのか。
仕事に追われすぎてすっかり忘れていた。でも、ぬらりが許さないだろうな。
あの書類の山を思い出しただけで目眩が…。
――ん?
犬まろ、猫きよもせっせと走って何かを運んでいる。あれは…
……………書類の山?
おいおい、処理済みのものだよな…?
思わず顔がひきつるエンマ。
『ふふふ、大王様も大変だね。』
振り向くと、廊下にいた妖怪と目があった―――さやかだ。