第1章 1章―夏祭り―
―――コツコツコツ…
ふーっ…
大きなため息をはきながら歩くエンマ。廊下には自分の足音のみが響いている。
相当疲れていたのだろうか。まさか仕事中に意識を飛ばすとは…いや、寝てしまってたのか?しかし、懐かしい夢だった……人間だった頃の記憶が残っているのも悪くはない。
―――コツコツ………ピタッ
「っと!こんなところまで来ちまったか。」
気づけば、少し下の階まで来てしまっていた。そこには窓もなく、外の空気を感じることができる。仕事ばかりだったため外の空気がとても心地よい。
「同じ宮殿の中でも、ここだけは飽きないんだよな!」
書斎は最上階のためもっと見張らしはいいのだが、少し下の階からの景色は普段と違いとても興味深い。