第1章 1章―夏祭り―
夜道を歩いていると、
『ケータさん達、大丈夫かな?』
「あいつらなら大丈夫さ」
『そっか。またいつか会えるといいな』
こんな楽しい祭りは初めてだった。
しかもエンマと行けるなんて奇跡…己の運を全て使い切った感じがするくらい。
恐らくエンマと一緒に行けるのはこれっきりなのだろう…と少し寂しく感じているとエンマが足を止めた。
『エンマ?どうしたの?』
「俺…もっと仕事頑張る。また、ぬらりに祭りへ行く許可してもらえるくらいに。だから…」
エンマはそっとさやかの手を握り
「また一緒にケータ達に会いに行こうぜ!
だからそんな寂しい顔しないでくれ。な。」
『エンマ…//』
エンマは妖魔界を統べる者。
私とは身分が違う、ただの同級生。恋人関係でもなんでもない…。
そんな私にも優しいエンマの言葉につい口元が緩んでしまった。
『ふふふ、楽しみにしてる//』
さやかは握られていた手を優しく握り返した。
エンマは手を握ったまま歩くのを再開した。
少しぎこない様子をさやかはとても愛おしく感じた。
ーーーーー
少し歩いたところで、浴衣をレンタルしていたお店の前を通りかかった。
『あ、エンマ。私もこの浴衣返却しにいかないと』
「返す必要ないぜ。レンタルじゃないからな」
……はい?
『え、エンマ…もしかして…。でもお店の前にレンタルって旗が…』
「あれは隣の店の旗だ」
『そうなの…』
「だから俺たちがいた店は人間もほとんどいなかっただろ?」
確かに…。
勝手にレンタルだと思っていた…。
しかし、レンタルではないということは…
一体いくら……